「東洋学術研究」 通巻188号(第61巻第1号)
2022年5月発行
1,400円(税込)
ISBN 978-4885960635
東洋哲学研究所創立60周年を迎えた2022年の『東洋学術研究』第61巻第1号では、本号と次号(第61巻第2号)にわたり特集「人間性の危機を乗り越えて」を連載する。また、連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」の4人の識者の講演録と論稿を収録する。ほかに、コラム「シルクロード(絲綢之路)①」、「東洋哲学研究所創立60周年に寄せて」などを掲載する。表紙写真は、シャーバーズガリー(パキスタン)に現存するアショーカ王磨崖法勅(大村次郷氏撮影)。
※掲載時の役職は当時のものです。なお、これまでに発刊された「東洋学術研究」から、主な論文については、ホームページ内の「論文検索」から閲覧することができます。
内容
■【特集】人間性の危機を乗り越えて(1)
宗教とレジリエンス――コロナ禍におけるブータン中央僧団の役割
… ソナム・キンガ(ブータン王立ガバナンス戦略研究所教員)/訳・山岸伸夫(東洋哲学研究所委嘱研究員)
困難な時代の道筋を探る――政治的暴力のただ中での民間の戦略的行為
… シェーン・バーター(Shane J. Barter/アメリカ創価大学教授)、テツシ・オガタ(Tetsushi Ogata/アメリカ創価大学客員講師)/訳・堀江聡(東京大学講師・翻訳家)
子ども虐待にみる人間性の危機
… 藤原 武男(東洋哲学研究所委嘱研究員)
「他者へのまなざし」と未来の人間関係――自己複雑性・集団複雑性とネット社会――
… 戸田 有一(東洋哲学研究所委嘱研究員)
社会脳神経系とヒトの自殺についての一考察――新しい自律神経理論ポリヴェーガル理論に焦点を当てて――
… 山口 力(東洋哲学研究所委嘱研究員)
■法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から(連続公開講演会より)
初期経典から『法華経』へ――仏教普遍化への道――
… 古川 洋平(東洋哲学研究所研究員)
法華経の系譜――インドから日本へ
… 末木 文美士(東京大学名誉教授)
写本研究から見える経典崇拝
… ダシュ・ショバ・ラニ(大谷大学教授)
聖典としての仏教――『法華経』にみる三宝の歴史性――
… 下田 正弘(東京大学大学院教授)
■コラム
シルクロード(絲綢之路)①トルファン(吐魯番)
… 大村 次郷(写真家)
■東洋哲学研究所創立60周年に寄せて
中日友好と文化交流に果たす東哲の多大な貢献
… 趙 声良(敦煌研究院党委員会書記、前院長)
諸経の王・法華経のたゆみなき研究と発展に期待
… 賈 蕙萱(北京大学教授)
平和をもたらす寛容の精神を基に対話と研究を
… フェリックス・ウンガー(ヨーロッパ科学芸術アカデミー名誉会長)
アジアから世界へ――法華経研究を通じた宗教・文化理解への貢献
… ゴーパ・サバロワール(デリー大学准教授、ナーランダー大学元副総長)
東洋哲学研究所の創立60周年を祝して
… 金 在榮(西江大学教授、韓国宗教学会元会長)
知識を渇仰する人類への絶え間ない貢献
… ノーラニット・セータブット(タマサート大学評議会議長)
■連載「近代日本における価値哲学者の群像(3)」
序――新カント派価値哲学とその受容史(3)
… 伊藤貴雄(東洋哲学研究所研究員)
田邊 元における「弁証法」の形成――「文化」を手がかりとして――
… 福谷 茂(創価大学教授)
牧口常三郎の価値哲学とそのコンテクスト――科学的教育学という構想の思想史的位置づけ――(2)
… 伊藤貴雄(同)
リッカート哲学の臨界
… 九鬼 一人(岡山商科大学教授)
■文明間・宗教間対話レクチャー
イスラム思想における極端派的伝統――ヌサイル派(アラウィー派)の源流思想における輪廻思想を事例として
… 菊地 達也(東京大学大学院准教授)
■新刊紹介
『文明・歴史・宗教 トインビー・池田対談50周年記念論集』東洋哲学研究所編
… 石神 豊(東洋哲学研究所特任研究員)
〈研究覚え書き〉
現代フランスの宗教事情―イスラムに注目して
… 満足 圭江(東洋哲学研究所海外研究員)