「東洋学術研究」 通巻180号(第57巻第1号)
2018年(平成30年)5月発行
1,238円(税込1,337円)
■本号の特集は「生命倫理と宗教」。尊厳死や安楽死、人工中絶の問題から、ES細胞・iPS細胞による再生医療まで、現代医療の技術発展に伴い、臨床の現場は新たな局面を迎えている。こうした状況のなかで、宗教には人間の生死をめぐる諸問題に対して応答する使命があると考え、東洋哲学研究所では、仏教、キリスト教、儒教、イスラームの各宗教の視座から2017年度連続公開講演会「生命倫理と宗教」を開催した。特集では、この講演会とともに、「社会と宗教」レクチャーでの発表内容を掲載する。
■特別講演会 韓国・李壽成元首相(2017年10月8日、コングレスクエア中野)を収録。また、東洋哲学研究所の企画・制作による「法華経──平和と共生のメッセージ」展より、世界各地で巡回を行う展示の紹介と、シンガポール法華経展(2017年10月1日~25日/11月1日~18日、アートハウス/シンガポール創価学会本部)の開幕式及び会期中に行われた講演会の内容を収録する。
※掲載時の役職は当時のものです。なお、これまでに発刊された「東洋学術研究」から、主な論文については、ホームページ内の「論文検索」から閲覧することができます。
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内容
■特集「生命倫理と宗教」(連続公開講演会、レクチャーより)
イスラームにおける生命倫理の諸問題
… 青柳かおる(新潟大学准教授)
科学の進歩と生命をめぐる倫理的課題の過去・現在・未来──キリスト教における議論を参考にしながら──
… 小原克博(同志社大学教授、同大学良心学研究センター長)
仏教と生命倫理
… 山本典生(東洋哲学研究所委嘱研究員、順天堂大学大学院准教授)
中国文化における生命倫理
… 池澤 優(東京大学大学院人文社会系研究科教授、同大学死生学・応用倫理センター長)
イランにおける第三者がかかわる生殖補助技術の活用に関する倫理的議論と実践
… 細谷幸子(国際医療福祉大学准教授)
キリスト教と生命倫理
… 土井健司(関西学院大学教授)
■韓国元首相特別講演会より
東アジアの平和の連帯を目指して
… 李壽成(韓国元首相、ソウル大学元総長)
■「法華経―平和と共生のメッセージ」より
世界に広がる法華経展
永遠のこだま──敦煌壁画の『法華経』図像とその現代における啓示──
… 張元林(敦煌研究院シルクロードと敦煌研究センター長・研究員)
法華経の流伝──インドから東アジアへ
… ニルマラ・シャルマ(インド文化国際アカデミー教授)
一なる真実在、いくつもの信条
… モハンマド・アラミ・ムサ(シンガポール・イスラーム宗教評議会議長)
■イスラーム・レクチャーより
アヴィセンナの存在論と西洋中世
… 山内志朗(慶應義塾大学教授)
■寄稿
仏教徒の「死者の遇し方」:そのあいまいさとアンビヴァレンス
… リチャード・ゴンブリッチ(オックスフォード仏教学研究所所長)
キリスト教と仏教の「智恵」表出の論理構造──エックハルトの「私の花は実である」(シラ書)解釈を手がかりにして──
… 田島照久(早稲田大学教授)
〈研究覚え書き〉
『世界地名大事典』の執筆に携って … 池永啓介(東洋哲学研究所委嘱研究員)
憲法における人間の尊厳と個人の尊厳 … 上田宏和(東洋哲学研究所委嘱研究員)