「東洋学術研究」 通巻177号(第55巻第2号)
2016年(平成28年)11月発行
1,238円(税込1,337円)
■特集1は、宗教間対話シリーズ[カトリックとの対話]。東洋哲学研究所が掲げる研究領域のひとつである「宗教間対話」の取り組みとして、2015年9月から2016年2月にかけて研究員・委嘱研究員を対象に5回にわたって開催した「カトリック神学レクチャー」での論考を紹介。
■特集2は、イギリス・オックスフォード仏教学研究所との第2回共同シンポジウム「人類の未来と仏教の可能性」での発表を収録。同研究所と東洋哲学研究所は、2012年に学術交流協定を締結して以来、講演の開催や学術誌の交換、研究論文の寄稿等を通じて交流を深めてきた。2014年に東京で行われた第29回学術大会には、仏教学研究所のリチャード・ゴンブリッチ所長、スレン・ラーガヴァン研究員が参加し、共同シンポジウムを開催しました。今号で紹介するシンポジウムは、2016年4月、オックスフォード大学にて第1回と同様のテーマで行われました。ゴンブリッチ所長による「開会あいさつ」と6人の論考を掲載。
■また、米ジョージタウン大学教授のファターリ・M・モガダム博士による特別公開講演会「民主制の心理学」、「持続可能な未来のための大学学長会議」のリチャード・クラグストン共同議長による寄稿等を紹介。
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内容
■特集1 宗教間対話シリーズ「カトリックとの対話」
「信じる」ことと「知る」こと――アウグスティヌスを中心に――
… 佐藤 直子(上智大学教授)
信仰の合理性――現代カトリシズムの公共性をめぐって
… 岩本 潤一(日本聖書協会翻訳部主任)
根源悪的現象から他者の地平に向けて
… 宮本 久雄(東京純心大学教授・東京大学名誉教授)
トマス・アクィナスにおける神学と哲学
… 芝元 航平(上智大学非常勤講師)
十字架のヨハネの神秘思想――カトリック的霊性の一極点――
… 鶴岡 賀雄(東京大学大学院教授)
■特集2 「人類の未来と仏教の可能性」(オックスフォード仏教学研究所との第2回共同シンポジウムより)
●開会あいさつ
… リチャード・ゴンブリッチ(オックスフォード仏教学研究所所長)
●第1セッション:仏教と行動――暴力と平和の課題
自由の声:初期仏教の尼僧の詩に見る友情、信頼そして解放―21世紀における仏教―
… サラ・ショー(オックスフォード仏教学研究所研究員)
「核兵器のない世界」構築への女性の役割
… 栗原 淑江(東洋哲学研究所主任研究員)
●第2セッション:仏教とプラグマティズム――社会変革へ 仏教の影響力
マインドフルネス瞑想と社会変革――セラピーから「智慧と倫理」へ
… マーク・レオナルド(「マインドフルネス・フォー・チェンジ」メンバー)
自然災害と仏教者の活動 ―東日本大震災をめぐって―
… 大西 克明(東洋哲学研究所研究員)
●第3セッション:仏教と科学――心身の健康へ 仏教実践と科学の効用
慈悲の実践――テーラワーダ仏教の瞑想の諸流派に関する一考察
… カマイ・ダマサミ(オックスフォード仏教学研究所研究員)
医療倫理と仏教――安楽死・尊厳死を焦点に
… 川田 洋一(東洋哲学研究所所長)
■特別公開講演会より
民主制の心理学
… ファターリ・M・モガダム(ジョージタウン大学教授)
■寄稿
地球憲章、精神性、持続可能な発展
… リチャード・クラグストン(「持続可能な未来のための大学学長会議」共同議長)
〈研究覚え書き〉
基礎研究と開発研究―その現在と未来 … 道川 誠(東洋哲学研究所委嘱研究員)
成功を支える力 … 水船 教義(東洋哲学研究所委嘱研究員)