「東洋学術研究」 通巻193号(第63巻第2号)
2024年11月発行
1,400円(税込)
ISBN 978-4-88596-087-1
今号では、東洋哲学研究所創立者・池田大作先生の一周忌の意義を込め、特集「池田大作先生と東洋哲学研究所」を掲載。池田先生と対談集を編まれた識者による寄稿文のほか、先生による海外の大学講演や、当研究所が進めてきた「法華経写本シリーズ」、法華経に関する学術的展示等についての論文6本を取り上げる。また、本年5月に開催した学術大会記念シンポジウム「AIと信仰・宗教・思想」での発表録4本とパネルディスカッションを収録する。ここでは、AIと人間の課題から、痛みを味わい真の幸福を分かち合う生き方、人間にしかできないこと、宗教だからこそ可能なこと、人知を超えるものとの経験(宗教文化)の重要性、「経験」概念の立て直し等について語られる。このほか、カント・フィヒテ研究者による寄稿論文や、神学者エックハルトに関する論文(「思想の扉」のコーナー)、コラム、書評、研究覚え書きを収める。
※掲載時の役職は当時のものです。なお、これまでに発刊された「東洋学術研究」から、主な論文については、ホームページ内の「論文検索」から閲覧することができます。
内容
■特集 池田大作先生と東洋哲学研究所
特集にあたって
… 山岸伸夫(東洋哲学研究所出版事業部)
【対談を振り返って】
人間主義の旗を
… フェリックス・ウンガー(ヨーロッパ科学芸術アカデミー名誉会長)/出版事業部訳
対話——他者にも耳を傾けよ
… アクシニア・D・ジュロヴァ(ブルガリア科学アカデミー会員)/二宮由美(東洋哲学研究所主任研究員)訳
【創立者の学術的活動】
創立者の海外大学講演に見る「人格」と「形成」
… 田中亮平(東洋哲学研究所所長)
池田大作先生と『東洋学術研究』
創立者の「文明間対話」シリーズ
【法華経原典の写真版とローマ字版を刊行】*掲載は後ろから
「法華経写本シリーズ」の概要と意義
… 水船教義(東洋哲学研究所委嘱研究員)
『法華経』サンスクリット写本研究の現況について
… 工藤順之(創価大学国際仏教学高等研究所教授)
【法華経についての展示会の開催】
普遍宗教としての仏教への回帰――「法華経展」に寄せて
… 保坂俊司(中央大学教授、比較文明学会会長)
「法華経――平和と共生のメッセージ」展に見る仏教とイスラームの文化・宗教交流
… 蔦木栄一(東洋哲学研究所委嘱研究員)
■AIと信仰・宗教・思想(第38回学術大会シンポジウムより)
無痛社会と人工共感――痛みを感じるAIはシンギュラリティなのか?
… 篠宮紀彦(東洋哲学研究所委嘱研究員)
仏教の世界にあってAIは何ができるのだろうか
… 山本修一(東洋哲学研究所主任研究員)
人工知能の得体の知れなさにいかに向き合うか――「存在」と「痛み」が変容するなかで考える
… 濱田陽(帝京大学教授)
LLM-AIの言語世界と言語(こと-ば)の経験
… 犬塚潤一郎(実践女子大学教授)
パネルディスカッションおよび質疑応答
■寄稿
『永遠平和のために』と『ドイツ国民に告ぐ』
… 杉田孝夫(お茶の水女子大学名誉教授)
■思想の扉 マイスター・エックハルト(1260~1328)
エックハルトは聖体の秘跡をいかに理解したのか
… 山崎達也(東洋哲学研究所主任研究員)
■コラム シルクロード(絲綢之路)⑥
天翔ける猿たち
… 大村次郷(写真家)
■書評
『分断された世界をつなぐ思想 より善き公正な共生社会のために』(北海道大学出版会、2024年)
… 平良直(東洋哲学研究所研究員)
■研究覚え書き
ラテンアメリカ民衆文化に関する人類学的研究
… 井上大介(東洋哲学研究所研究員)
南原繁の政治哲学と時代経験――理論の変化とこれを導いたもの
… 川口雄一(東洋哲学研究所委嘱研究員)