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『人権の世紀へのメッセージ――“第三の千年”に何が必要か 』【在庫切れ】
池田大作 アドルフォ・ペルス=エスキベル
2009年11月
東洋哲学研究所の創立者・池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長と、アルゼンチンのノーベル平和賞受賞者・エスキベル博士の対談集。
内容
ラテンアメリカの20世紀。それは、貧困と社会的不公正からの解放を求める人権闘争の歴史であった。エスキベル博士は民衆の先頭に立って、非道な人権抑圧を重ねる軍事政権と戦い、過酷な獄中闘争も体験。「第三の千年」が始まる21世紀を「人権の世紀」とするためには、いかなる哲学と運動が必要なのか、仏教を基調にした平和運動を続けるSGI会長と語り合った。
民衆の力の結集、女性の精神性、「平和の文化」の内実、青年の核廃絶への道……ふたりの行動者の対話から浮かび上がるのは、ガンジーが語った「非暴力の無限の可能性」であり、その可能性を現実化する生きた宗教の力である。
エスキベル博士は語る。
「軍事独裁政権は私を捕らえ、虐待し、飛行機からラプラタ川に突き落とそうともしました。人間が人間でなくなり、使い捨てのモノとされる。狂った状態のなかで、3万人もの人々が「消され」ました。しかし私たちは勝ちました。私は明言できます。『抑圧された人々は、いつまでも黙ったままではいない。民衆が目覚め、権利を主張するときが必ず来るのだ!』と」
そして池田SGI会長は語る。
「民衆が強くなる。賢くなる。主人公になる。それこそが《新時代》です。虐げられ苦しむ庶民のために、私どもは断固、戦い続けてまいりました。傲慢な権力は民衆を分断しようとします。だからこそ民衆は団結しました。権力に迎合してきた日本の宗教の歴史を転換し、『憎悪から慈悲へ』『暴力から非暴力へ』と転換しゆく民衆の一大連帯を築いてきたのです」
創立者とエスキベル博士は、1995年12月に東京で会見。その後、往復書簡などで意見を交換し、『東洋学術研究』(2006年第2号~2008年第1号)誌上に4回の対談を連載した。今回、その内容に新たに1章を加えて、対談集発刊の運びとなったものである。
目次
第1章 人権闘争――壮大なる勝利のドラマ
- 民衆の〝苦悩の歴史〟に終止符を
- 抵抗運動の長い道のり
- 「国家によるテロ」が横行
- 「暴力は獣類の法」「非暴力は人類の法」
- 暴力は「嘘」を武器にする
- あえて波瀾の闘争生活へ
- 夫の逮捕! そのとき夫人の勇気が
- 過酷な獄中闘争
- 日本の軍事政権との戦い
- 入獄で いよいよ強くなる
- 飛行機から投げ落とす――死のフライト
- 民衆を代表して受けた〝草の根の平和賞〟
- 絶体絶命の危機をはね返す
- 運命は変えられるか
- 「心」を変えよ 「行い」を変えよ
第2章 地球を結ぶ民衆の力
- ラテンアメリカから見た世界
- 権力は「民衆の台頭」を抑える
- 緊急対応と構造改革――どちらを優先
- 抑圧の闇を払った「民衆勝利の太陽」
- 民衆連帯には「組織」が必要
- 「悲劇を繰り返さない」ためには
- 「精神の空洞化」から全体主義が
- 「商品」ではなく 「いのち」を基準に
- 「統一されたラテンアメリカ」への夢と課題
- 文化の継承と学び合い
- 古代文明人はエコロジスト
- 日本とアルゼンチンは〝地球を背にした隣人〟
- 「最高のトウモロコシ」の秘密とは
第3章 非暴力の精神の継承
- 「平和の闘士」を心に抱いて
- わが人生に「特別の意味」をもつ人
- 「大地の声を聴きなさい」――祖母の教え
- ラテンアメリカに非暴力を広げた先人
- バラモンの少年に「トイレ掃除」をさせたガンジー
- 指導者の多くは 「言葉」と「行い」が分離
- 「精神性の道」を行けば 平和にたどり着く
第4章 女性――〝生命の世紀〟の担い手
- 「個人主義の社会」に「連帯の文化」を
- 女性の果たす役割に期待したガンジー
- 正義の闘いに身を投じた女性たち
- 母の祈りが平和行動の原点
- 「人間性の光」で社会を照らした女性たち
- 差別と抑圧の「力の文明」を超えて
- 勝鬘夫人とマザー・テレサ
- 法華経に「女性の人権宣言」が
- 女性教育を重視した牧口初代会長
- 女性は「対話の力」で人類を文明化
- 「人類の良心を呼び起こす戦い」
第5章 青年――「平和の文化」の大建設を
- 核兵器は絶対悪――広島への思い
- 平和のために「指導者革命」を
- 世界的な「非核地帯」の拡大を
- 「原水爆禁止宣言」の精神を実行
- 「暴力」は「自己正当化」と表裏一体
- 「人間の安全保障」を最優先せよ
- 地球時代へ 人類の「内的宇宙」を拡大
- 「見えないものを見る力」から平和が
- 「暴力の文化」を わが心から追放
- 平和を創る青年の使命
- 言行一致の人生は世界の模範
アドルフォ・ペレス=エスキベル(Adolfo Pérez Esquivel)
1931年、アルゼンチンのブエノスアイレスに生まれる。国立美術学校と国立ラプラタ大学を卒業し、彫刻家・画家・建築家として活躍。60年代から平和運動に参加し、74年、人権団体「平和と正義のための奉仕」を創立。軍事政権によって権利を奪われた貧困層の救済と人権擁護を目指してラテンアメリカ全域での活動を始め、近隣諸国から追放処分を受ける。76年、アルゼンチンで軍事クーデターが起こり、軍事政権下での多大な「行方不明者」の追跡と非暴力による紛争解決に奮闘。77年に逮捕され、14カ月間、過酷な獄中闘争を続けた。
1980年、ノーベル平和賞を受賞。その後も、ラテンアメリカのみならず世界に、その人権活動を広げている。アマンダ夫人はピアニスト・作曲家。