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第1回連続公開講演会「地球的危機の『挑戦』と宗教・文明の『応戦』――パンデミックを契機として」
◆講師:井上 大介氏(東洋哲学研究所委嘱研究員/創価大学教授)
◆テーマ:疫病・紛争・飢饉に対する宗教の課題と役割——『二十一世紀への対話』を題材として
◆開催日:2022年10月22日
◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)
連続公開講演会「地球的危機の『挑戦』と宗教・文明の『応戦』――パンデミックを契機として」開催趣旨
講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定
井上大介氏は、創価大学文学部を卒業の後、メキシコ国立自治大学院博士課程修了し、人類学博士号を取得。文化人類学、民俗学、社会学が専門であり、これまでメキシコ国立人類学歴史学大学非常勤講師、アメリカ・コロンビア大学客員研究員、大阪大学客員教授を歴任。現在、創価大学文学部教授と東洋哲学研究所委嘱研究員を務める。東哲においては、第5プロジェクト「文明論」に所属し、創立者・池田大作先生と文明史家アーノルド・J・トインビー博士との対談集『二十一世紀への対話』などを通した文明論研究・トインビー研究を推進している。
講演では、『二十一世紀への対話』を通して見た現代の地球的危機を「疫病」「紛争」「飢饉」の3つに絞り、それらを「感染症と宗教」「紛争・経済危機と宗教」という角度で整理し西側から派生した国家・政治権力・差別の問題として分析。その際、現代の3つの代替宗教(トインビーの説)である「ナショナリズム」「共産主義」「科学至上主義」の弊害について分析し「世界宗教」の使命・課題についての考察を行った。
そして、創立者とトインビー博士の行動と思想的立場に触れながら、両者が西欧中心主義的なものの見方に対し距離をとり、それらを相対化しつつよりよき価値を追求していたことに言及。歴史的に宗教文化が病気や死といった人間の根源的悲嘆を乗り越える原動力となり、集団における連帯や団結、道徳性や倫理観を維持、強化するための重要な影響となり、他者との共存や利他主義を涵養してきたことに触れ、「利他主義」を培う宗教文化を 世界的道義性・倫理観に昇華させ、共有していくことが重要であると述べ、各宗教がそうした共通目的のため協力していく必要性について論じた。