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第4回連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」
◆開催日:2021年12月18日
◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)
連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」開催趣旨
講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定
ダシュ・ショバ・ラニ氏は、インド南東部のオリッサ州出身で、同州のサンバルプル大学を卒業。デリー大学大学院で仏教学を修め、日本政府国費留学生として大阪外国語大学・大谷大学で学び、同大学大学院文学研究科にで文学博士を取得。ドイツ・ハンブルク大学客員教授研究員、ハイデルベルク大学客員教授などを歴任し現職。専門は講演会のテーマを扱う貝葉写本研究をはじめ、仏教学、印度学のほか女性と仏教についてを研究テーマとしている。東洋哲学研究所とは法華経展の実施にあたり、長年にわたり交流し、『ガイドブック 法華経展』収録の写本の素材のページには、貝葉とそれに文字や絵を刻むために使用する鉄筆などの資料・画像を提供している。
講演では、自身の貝葉研究を踏まえつつ、写本の種類(紙、樺皮、貝葉等)や、その作成方法に言及。「インド・タイ・スリランカでの調査報告から見える貝葉写本と信仰」「『法華経』と経巻崇拝」「『法華経』の供養の仕方と得られる功徳」などについて語った。
ダシュ氏は「写本とは経典を記したもので、紙や樺皮、貝葉などの種類があります。こうした写本は、人々の信仰心によって作られ、保存されてきました。私が研究を始めた当初は、これを資料としてしか見ていませんでしたが、その作成の過程を見て経典として大切に捉えていかなればならないと思うようになりました」と述べた。
また、法華経写本が多くの残っているのは、経典を供養するという宗教的な価値を持ったことにより、時代を超えてほぼ正確な形で伝えられてきたからだと考えられるとし、「今、私たちが法華経の写本を目にすることができるのは、誰かがそれを大事にし、その次の世代の人びとにもそれを大事にしてほしいと思ってきたからだと思います。私たちはそれをありがたく受け止めねばなりません。次は私たちの番ではないでしょうか。物理的なことも踏まえ、伝えていく必要があります。たんなる遺産ではなく、本来の意味を理解して伝えていくことには大きな責任があると思います」と強調した。