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第4回連続公開講演会「信仰と理性――コロナ禍のなかで」
◆講師:岡嶋 裕史氏(中央大学教授/同大学学部長補佐)
◆開催日:2020年12月12日
◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)
講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定
岡嶋裕史氏は、中央大学大学院で学び、博士号(総合政策)を取得。情報ネットワーク、情報セキュリティ研究を専門とし、富士総合研究所、関東学院大学准教授などを経て現職。デジタル化、リモート化のなかでの倫理・哲学の重要性にも注目をしている。
講演では、現代社会の時代状況をサブカルチャーなどの流れなどを紹介しながら言及し、「戦後から現在にかけての社会は、皆が同じ価値観を有し、同じ生き方を志向するという『大きな物語』から、個人主義が台頭する『ポストモダン』への変遷がありました。そこに科学技術の進展も影響し、“皆が違って良い”“自由にして良い”という考えが生まれました。そして、技術の進歩は、複製(コピー)を容易にし、オリジナルと同質の複製が登場することにもなりました。考えねばならないのは、複製されない存在、価値をどう創っていくかということです」と述べた。
そして、「人間は自分で考えることを面倒に思うことが多いです。不安定と不安の時代が続く今、若者を中心に失敗をしない合理的な判断をAIに求める風潮があります。『大きな物語』があった時代は、社会がその目標を示していましたが、現代は個人の自由の代償として孤独や失敗への恐れがあります。科学技術は万能だとされ、知らないことは怖いことだという歴史が続いてきました。それを説明することで安心を得てきたなかで、合理的証明をする科学に宗教・哲学が圧迫されてきた流れがあります。科学はますます範囲を広げ、すべてを説明できるという態度をとっていますが、これは傲慢なことではないかと私は思います。機械や道具を使用することで、人間は自らの機能を外部化してきましたが、最後に残された能力こそが意思決定です。自分がどう生きるかを考えるには、その基盤に宗教・哲学がなければなりません。私は、この課題をさらに探究していきたいと考えています」と望んだ。