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- 2018年(平成30年)
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連続公開講演会第4回「経済倫理と宗教」(高木功・創価大学教授)
◆開催日:2018年12月6日
◆会場:日本青年館ホテル(東京・新宿区)
講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定
高木氏は、創価大学経済学部を卒業後、創価大学大学院博士課程を経て、シンガポール東南アジア研究センター(ISEAS)客員研究員やフィリピンのデ・ラ・サール大学ユーチェンコ・センター客員研究員などを歴任。現在、創価大学経済学部の教授と大学院経済学研究科長を務める。「世界経済」「アジア経済研究」「ウェルビーイング研究」「人間主義経済学研究」を研究テーマに、「経済主義」とグローバリゼーションの時代において積極的な人間観・社会観を提示する仏法的人間主義の発信を行っている。
講演では、グローバリゼーションが言われ続けて久しい現代にあって、その本質について言及し、「その本質は西洋の考えや方法を途上国に浸透させ、途上国が受け入れることで経済発展していくというものです。そうした流れのなかで、経済の舞台は国内から世界になり、貧富の格差はかつてないほど大きく広がっています」と強調。社会が以前よりも不平等な状況となり、人々の欲望は肥大化し、価値の一元化と同質化が進んでいるとの考察を行った。
高木氏は今、生命に具わる根源的な無知であり、自己並びに他者の善性への不信という仏教が説く「元品の無明」によって世界が覆われていると述べ、それを打ち破る生き方としての『菩薩像』を提示した。氏は菩薩を「人間に関する経済還元主義的傾向に対抗する人間の潜在力に関する豊かな概念」と捉える。すべての存在を縁起とみる菩薩にとって、自身の幸福と他の幸福は相互に依存関係にあり、あらゆる人々の善性すなわち仏性の存在を信じることで、自己と他の尊厳性の普遍的基礎を提供すると論じた。そして「現在、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みが世界レベルで進められています。人類が初めて包括的目標を共有したという点において画期的なSDGsにあって、変革の実現の主体としての菩薩の躍動と活躍が求められているのです」と語った。