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連続公開講演会「生命倫理と宗教」第3回

◆講師:山本 典生氏(東洋哲学研究所委嘱研究員、順天堂大学大学院准教授)
◆開催日:2017年11月30日
◆会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京・新宿区)


講演内容は「東洋学術研究」に掲載

 
 
 山本氏は、東京医科歯科大学大学院ウイルス制御学講座を修了し、次世代ワクチンの開発やウィルスに関する研究を専門としている。医学博士、医師として、国立感染症研究所や東京医科歯科大学などで職歴を重ねてきた。当研究所では、論考集「大乗仏教の挑戦シリーズ」への執筆や、八王子学園都市の市民講座で公開講座の担当などを行っている。

 講演では、「仏教と生命倫理」をテーマとして、仏教の生命観を「十界論」「九識論」「縁起論」を通して紹介した。全ての生命は、根源的な宇宙の生命を顕しているものであり、尊極の仏の生命であることに言及。現代医学の倫理的な諸問題に触れ、専門の見地からES細胞とiPS細胞の「再生医療」についての解説を行った。

 また、「受精胚は完全なヒトと同等か」「生殖医療の中で生み出された余剰胚を研究に使用できるか」などについて、仏教の視点から見た「人間の尊厳の手段化」「人のはじまり」「生命の多様性とアイデンティティー」の3つの問題点を挙げ、「人間の生命が最高に価値あるものと位置づけられるならば、人間の生命が何かある目的のために手段化されてはいけないのは当然です。人間のはじまりがいつなのかを、個体発生のプロセスの上で決めるのは難しい問題です。しかし、生命の萌芽としての尊厳性を考えていかなければなりません」と論究した。

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