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特別公開講演会
◆講師:ファターリ・モガダム博士(米ジョージタウン大学教授)
◆開催日:2016年3月20日
◆会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京・新宿区)
講演内容は「東洋学術研究」に掲載
ファターリ・モガダム博士は、イラン出身で、英国リバプール大学を卒業。同国のサリー大学で博士号(心理学)を取得する。カナダのマッギル大学を経て、1990年から米国のジョージタウン大学で教鞭を執っている。現在、同大学心理学部教授、政治学部・紛争解決プログラムのディレクターを務める。グローバル化、テロリズムの心理に焦点を当てた文化とグループ間の対立等の研究を進めている。
講演では、社会の変革には、①国の法律や地域の規範を変えないまま進む変革②法律や制度の変革③規範と法律が変えられ、さらに体制そのものが変革されるという3つのタイプがあると言及。これを踏まえて「現実には、体制の変革は、革命などで実現されているように見えるかもしれませんが、これはほとんど成し遂げられていません。つまり、社会全体という大きな単位で変革を遂げるのは、ある意味ですぐにできるかもしれませんが、個人というミクロの単位での変革はより時間がかかるからです」と述べた。
その上で博士は「本当の意味での変革をもたらすためには、適切なリーダーの存在と、それを支える優れた人々が必要です。そして、その上で新たな体制で機能する民主主義を理解する市民が必要なのです。変化を遂げると言っても、必ずしも望んだようにならないこともあります。左翼化をしたり、過激主義へ向かったりして絶対性がないのです。紙の上で体制変革はできるかもしれません。しかし、人々の心理・行動を変えるのは困難なのです。真実の民主主義に移行するために、人々は何を変える必要があるのでしょうか。私は、人間の能力をどう開発することができるのかに心を配っていくべきだと思います」と強調した。