特別公開講演会

◆講師:ニーラカンタ・ラダクリシュナン博士(ガンジー研究評議会議長)
◆開催日:2015年6月18日
◆会場:仙台市福祉プラザ(宮城・仙台市)



 
 ラダクリシュナン博士は、インドにおけるガンジー研究の代表的研究者であり、非暴力活動家、哲学者、作家、芸術家として幅広く活動している。マハトマ・ガンジー非暴力開発センター所長、非暴力デリー会議副会長等を歴任。平和と国際的理解の促進の為に、ガンジー思想の啓蒙に尽力している。

 博士はこれまで、東洋哲学研究所とラマチャンドラン博士生誕百周年記念国家委員会との日印共同シンポジウム(2005年9月)への出席をはじめ、東洋哲学研究所との交流を進めてきた。2012年に開催した特別公開講演会では、「世界平和のための非暴力抵抗運動『サティヤーグラハ』と人間革命」をテーマに発表を行っている。

 博士は、講演の開始前に、東日本大震災によって甚大な被害を受けた宮城県石巻市を訪問。地元のボランティアのメンバーから被災当時の状況の説明を受けた。また、自らも被災しながら、「がんばろう! 石巻」の看板を製作した黒澤健一さんに「黒澤さんの中にある無限の力、勇気から、私は大いなる啓発を受けました」と語り、東北で復興活動を続ける人々に励ましを送った。

 講演会で博士は、「回復力のある持続可能な社会へ――ガンジーと池田SGI会長から学ぶ」をテーマに発表を行った。冒頭、想像を超える大震災の爪痕を目にした心情を語り、「私はきょう、自然の猛威によって破壊された石巻を訪問しました。その光景を見て、全ての人が悲しみに暮れ、涙を流しただろうと思いました。多くの方が自宅を失い、命を失いました。大切な家族を、全てのものを失いました。大震災は、自然が隠していた爪を表し、脅威を見せた一瞬でありました」と述べた。
 そして、「そうした事に思いを馳せるなか、『がんばろう! 石巻』の看板を見て、私は実感したのです。それは、偉大なる一人ひとりが、大いなる苦難に果敢に挑み、立ち上がり、正義の為に戦うという強靭な確信を持っているということです。そして、勇気を持って立ち向かったことを学びました」と語った。

 また、マハトマ・ガンジーと池田SGI会長が有する思想と行動について、「ガンジーは、社会変革を成し遂げる為に立ち上がりました。池田会長もまた、社会変革をもたらすことのできる個人の能力を開花させる運動を展開されてきました」と紹介。戦争や殺戮が繰り返されてきた人類の歴史に対して、「池田会長はグローバルな“ヒューマンファミリー”、つまり世界市民という概念を提唱していますが、ガンジーもまた『世界は一つの家族』という思想を提唱しています。池田会長が説明されたのは人間の友愛です。そして、人種、民族に関係なく人類は一つであることを教えているのです」と訴えた。

 博士は、憎しみや暴力を排除し、愛と解放の人間性を復興させることが重要であり、人類は、母親が子供を愛するのと同じような気持ちを持たなければならないと呼びかけた。さらに、両者が女性をエンパワーし尊重する運動を続けてきたことに触れ、女性が教育を受け、力をもつことによって、憎しみや殺戮のない、調和、寛容、尊厳の世界を創ることができると語った。

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