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連続公開講演会「地球文明への道」
◆講師:石神 豊氏(創価大学文学部教授)
◆開催日:2015年10月15日
◆会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京・新宿区)
講演内容は「東洋学術研究」に掲載
石神氏は、哲学・倫理学を専門とし、創価大学では文学部学部長などを歴任。本年より、東洋哲学研究所の主任研究員を務め、研究所に新たに設置された「文明論プロジェクト」の中心として、トインビー研究・比較文明研究などをリードしている。講演会では、東洋哲学研究所が掲げる「地球文明の創出」にあたり、自身が専門とする哲学分野から、ソクラテスとカントをもとにした考察を発表した。
氏は「混沌とした21世紀において、人間がいかに生きるべきかが、ますます問われています」と述べ、特に今、人々が科学や社会制度に縛られ、ある意味で奴隷のようになって、孤立した状況を生んでいる状況と言及。その上で、「私が注目するソクラテスとカントは、物事の見方を転換させ、内なる自分に迫ろうとした人たちです。そして、能動的な態度で考えることの大切さを訴えてきました。人間の最大の能力は考えることであり、それは人間の尊厳に関わる行為です」とし、「考えることは人間を創る力であり、ソフトパワーであるのに対して、考えることを暴力などによって押さえつけることはハードパワーと言えるでしょう」と述べた。
そして、ソクラテスは言葉によって人と人とを結びつけ、カントは人を自律の主体として尊厳なるものとしたと解説。「何よりも両者に共通するのは、生命の永遠性を覚知したことです。これによって、人間の幸福観から思考をスタートさせたのです。ソクラテスとカントの人間観と思考は、現代の問題に対処する為の多くの示唆を与えているのです」と語った。