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「法華経――平和と共生のメッセージ」展(インド)
インド展
ムンバイ展
インド最大の都市・ムンバイ(旧・ボンベイ)で、同国で5都市6回目となる「法華経―平和と共生のメッセージ」展が9月17日から21日まで開催された(同市のラビンドラ・ナーティヤ・マンディルで)。開幕式には、ムンバイ市名誉市長のインドゥ・シャハニ博士(ムンバイ大学「H.R.商業・経済カレッジ」学長)、バクル・パテル元名誉市長、サリュウ・ドーシ博士(歴史学者、ムンバイ国立近代美術館名誉理事)はじめ多数の来賓ならびにインド創価学会のメンバーら470人が集った。
ムンバイ市では、2008年11月、10件のテロ立てこもり事件が同時多発的に発生。170人以上の死者 、230人以上の負傷者を出す悲劇となった。それだけに「傷つき打撃を受けたこの街で、心を癒す『法華経展』が開催されることは、まことに意義の深いことです」(バクル・パテル元名誉市長)の言葉に重みがあった。
開幕式は、国営放送を含む16社のテレビやラジオ、新聞などの報道陣も集い、注目の高さをうかがわせるなか、インド伝統の灯火式の後、池田SGI会長のメッセージ紹介が行われた。またムンバイの少年少女による、「衣裏珠の譬え」(法華経の七つの譬えのひとつ)を題材にした創作劇が披露された。訪れた大学院生のケトキ・ケトカールさんは「男女同権の思想、一人ひとりの人間に焦点をあて、個々の限りない可能性を強調している法華経の哲学に感銘を受けました」と感想を述べていた。
開幕式でのあいさつから
インドゥ・シャハニ博士
今回の法華経展は、自身の生命に仏の生命が存することを教えてくれています。「三車火宅の譬え」は、世俗的なことに流されている現代社会をまさに表現しています。私たち人間は、この譬えの“火事” “火宅”の意味を忘れてしまっています。私たちは、平和の意味を見失い、どこに行くべきかも知らずに生きています。しかし、法華経は、そのような道を見失った私たちをこそ救済すべく説かれた経典なのであります。法華経展を通じ、法華経に込められた「無限の希望」を、「自分自身に力を与えよ」とのメッセージを、より多くのインドの青年に分かちあってほしいと念願しております。
バクル・パテル元名誉市長のあいさつ
2008年11月26日、このムンバイで同時多発テロが起こりました。傷つき打撃を受けたこの街で、心を癒す『法華経展』が開催されることは、まことに意義の深いことです。全ての人々の生命に内在する無限の可能性を発揮させながら、個々人を変革することにより、社会を変革していくという法華経の教えには、人間として人間らしく生きるメッセージが込められています。法華経の実践を通して内面に変革をもたらし、自らの進むべき道を決め、自己の可能性を最大に発揮していく。「まずは、己れを変革せよ! そして社会を変革せよ」――これこそが法華経の精神に込められた東洋のエートスなのです。
池田大作博士は、自らの法華経の実践を通して、平和のメッセージを間断なく全世界に広げるという奮闘を続けている偉大な仏教指導者です。その指導者の下、このように多くの青年の方々が法華経の哲学を実践していることは、私たちに勇気と希望を与えてくれます。暴力と紛争に打ちのめされた青年こそが最も内面の平和を希求しているからであります。
サリュウ・ドーシ博士のあいさつ
法華経は、釈尊の最も「根幹」の思想を説いたものです。法華経は、釈尊が菩提樹の下で悟りを開いて以来説いてきた数々の教えの「集大成」であり、釈尊自ら、これから説こうとする法華経こそが、今までの教えに取って代わる根本の教えであることを宣言しました。
法華経が「諸経の王」と言われる理由は、「全ての人々が現世において仏性を顕現し仏になれる」と説いたことです。阿羅漢や菩薩の位ではなく、最高の仏の位を全民衆が実現できると説いたのです。法華経は、今、幸福でない人生を生きている人々をはじめ一切の民衆に希望を与える経典です。その実践は、自らの生命を変革し、より豊かな人間性をもつことによって、この世界を救済していくことにあります。
コルカタ展
「法華経――平和と共生のメッセージ」展の「コルカタ展」が開催された。同市では初、インドでは5回目の開催である。
“諸経の王”と讃えられる法華経の精神を伝える展示では、創価学会の「法華経写本シリーズ」に加え、世界最初の梵文法華経の校訂本「ケルン・南條本」の初版本、鳩摩羅什の漢訳の完成から約150年後に書写された「妙法蓮華経」(複製)など、世界の識者から池田SGI会長に贈られた貴重な品々が公開されている。
開幕式では、ICCRのバーラティ・レイ副会長があいさつし、「法華経に秘められた慈愛と平和、調和と幸福のメッセージが、美しく、そして深い洞察をもって示されています」と語った。同展には、7日間で3000人が訪れ、展示の模様は、地元テレビ局や新聞でも紹介された。
◆主催:インド文化関係評議会(ICCR)コルカタ支部、インド創価学会
◆会場:ICCR「ラビンドラナート・タゴール・センター」(コルカタ)
◆開催日:2010年8月7~13日
開幕式でのあいさつから
バーラティ・レイICCR副会長(カルカッタ大学・元副総長)
「(ここコルカタの地で活躍した)タゴールは、仏教思想から大きな影響を受けました。
タゴールは『私は心の奥底に、すべての時代を通しての最も偉大な人間として、ブッダを抱いている』と書いております。その意味でも、タゴールの名を冠したこのセンターでの法華経展の開催がうれしいのです。
私たちは法華経の中に、人類が欲している慈愛と平和、調和と幸福のメッセージを見出すことができます。法華経は、ブッダの悟りを最も完全に伝えており、多くの国々の民衆を魅了して、多くの言語に翻訳され、また美術的にも大きな貢献をしてきました。法華経では、『我は深く汝らを敬う』との(不軽菩薩の)言のごとく、生命ほど尊いものはないという尊厳観を説いています。文明と人類の発展の名のもと、テロと戦争と暴力に没頭している現代にあって、私たち世界市民にとり、これは非常に重要な言葉です。
また、『法華経の七譬』には〈共生を通じた平和〉を説く譬えがありましたが、法華経は、人々の違いや多様性を受け入れながら、平和の文化に焦点を当てているのです。
こうした法華経に秘められたメッセージを、著名な仏教哲学者であり、創価学会インタナショナルの会長であられる池田博士は、とても美しく、深い洞察をもって示しておられます。そして博士は、仏教の教理をご自身の内面で開花させておられます。私は、博士の著作を何冊か読ませていただきましたが、とくに人間主義についての対談に心から感動いたしました。いかなる社会であっても、いかなる国であっても、いかなる文明であっても、民衆のほとんどは過激な考え方やテロリズムを拒絶するであろうとの博士の考えに、私は全面的に賛成いたします。重要なのは、恐怖や不安の原因を取り除き、理解と協力の架け橋を築いていく努力であり、その努力の持続です。そして、この変革に最も強力な助けとなるのは、教育なのです。
今回のこの法華経展を、私どもは大きな喜びをもって開催させていただきます。
作家 ホセイン・レーマン氏
「この偉大な法華経展の開幕式に参加させていただき、 まことに光栄です。今 回の展示を詳細に見学し、学び、明確に理解するためには一日では足りません。
タゴールも仏教から影響を受けましたが、忘れてはならないのは、ガンジーも仏教から多大な影響を受けたことです。全ての人間は平等であり、全ての文化は、複合的な関連性をもっています。仏教哲学における多様性の尊重は、非常に重要な点です。憎しみからは何も生まれません。人間が他者や環境と調和をもっていくなかで、平和と共生の世界を築いていくことができるのです。
仏教とは、中道を悟ることです。人間主義がいかなるものであるかを理解するには、中道の哲学が必要です。仏教は、形而上学的なものでも神学的なものでもなく、人間の内面にせまったものなのです」
作家 シルシェンドゥ・ムコッパディヤ氏
「釈尊は、慈愛と平和のメッセージを説きました。より適確に言うならば、この不合理な世界に必要な『智慧』を説いたのです。その意味で、私はこの法華経展を、釈尊の智慧を学ぶ素晴らしい機会だと思います」
来賓の声から
アジア協会のバンダナ・ムコバディヤ博士
「法華経展を通じ、法華経がいかに、様々な地域で、また様々な時代に、民衆に受け入れられ広がっていったのかを知ることができました。法華経は人間の平等を説いています。暴力が蔓延するこの社会にあって、この法華経の思想こそが、まさしく必要とされています」
ラビンドラ・バーラティ大学 カルナ・シンドゥ・ダス元副総長
「とても素晴らしい展示会です。展示品を通して、私たちは法華経のメッセージを理解することができました。自己を覚醒させ、自己の中に平和を築くことの重要性を述べた法華経のメッセージに、多くの人々が恩恵を受けることでしょう」
ICCR「ラビンドラナート・タゴール・センター」のレーバ・ソム理事長
「自己と大宇宙の相互作用、そして、あらゆる生命に仏性が内在すると説く法華経の思想は素晴らしいものです。自己自身が仏であり、ゆえに内なる魂に目覚めよとのメッセージは、人類を希望と歓喜で満たしてくれます」
バンガロール展
「バンガロール展」は、2009年10月、南インド「カルナータカ州のバンガロールで開催された。開幕式では、来賓のカルナータカ州 ハンス・ラージ・バルドワージ知事があいさつし、「世界から戦争やテロリズムを根絶するために、“一人一人が最高の法と一体である”との法華経の理念を広く社会に宣揚する必要があると強調。同展の開催を心から歓迎した。 またサンスクリット基金のM・A・ラクシュミ・タタチャール会長は、「写本に秘められた智慧を“閉じたままにしておく”のではなく、広く民衆に“開いていく”東洋哲学研究所の活動は大変に素晴らしい」と述べた。同展には 1週間の期間中、1500人を超える市民が訪れ、その模様や反響を国営放送「ドゥールダルシャン」をはじめ3社が放映、「インディアン・エクスプレス」など5紙が報道した。
◆主催:東洋哲学研究所、インド創価学会
◆会場:カルナータカ・チットラカラ・パリシャット(バンガロール)
◆開催日:2009年10月16日~22日
ハンス・ラージ・バルドワージ州知事のあいさつ
本日は、優れた展示会「法華経展」にお招きいただき、心より感謝申し上げます。
私は、過去10年間、インドの思想や宗教の研究に携わってきました。法華経の理念は、私たち一人ひとりが最高なる法と一体であるということであります。全ての人々の心の中に、魂の中に、聖なるものが存在することを説いています。その聖なるもののために実践をし、解脱していくことが法華経の教えであります。一人ひとりの心で実践していくことです。法華経の理念は、現代の社会に光を与えていくことでしょう。
私は、世界の識者の方々と対話を推進される池田SGI会長のことを存じ上げています。私自身、ネルソン・マンデラ氏をはじめ多くの方々と対話をしてまいりました。私がお会いした全ての人々が全員一致で賛成することは、世界から戦争や紛争、テロリズムなどを無くすためには、平和的な共生が唯一の解決の道であるということであります。 そして、この平和的共生のメッセージを広く社会に宣揚していかなければならないということであります。それこそが、唯一、世界に平和と繁栄をもたらすものだからです。私たち自身が「泥の中に生育する蓮の花」であることを示していくことなのです。
法(ダルマ)とは儀式的なものではありません。法とは正義であります。儀式的なものが、社会を間違った方向へと導きました。物資的欲求へと人々を導いていったのです。儀式的なもの自体が、物資的に裕福なほうへと進んでいきました。これが西洋における物資主義の様相です。西洋は確かに繁栄しました。西洋人は、この200年間において、技術で大きな変化を成し遂げました。しかし、精神の部分で、インドとは大きな隔たりがありました。今では、インドの精神を求めて、たくさんの人々が西洋からやって来ています。
インドと日本には、精神的な部分を含め、多くの共通の部分があります。仏教もその一つです。インドで発祥した仏教は日本に伝わりました。その仏教の思想を根底にした池田博士のメッセージは、アフリカ、ヨーロッパの国々をはじめ、世界的に広まっています。法華経が生まれたこのインドの地での『法華経』展の開催を、私は心から歓迎いたします。
M.A.ラクシュミ・タタチャール会長のあいさつ
本日は、この素晴らしい「法華経展」に招待していただき、光栄に思っております。 私は、過去30年にわたり写本学の研究に携わってきました。インドには様々な哲学に属する写本が百万とあります。しかし、それらの写本の中で、きちんと保管され、取り扱われているのは、たった10パーセントしかありません。創価学会と東洋哲学研究所が仏教、とくに法華経の写本をこのような形で人類の遺産として残すという事業を展開されていることに心より喜びを感じております。
写本には多くの人々が携わってきました。そこには人類の智慧が結集しています。その智慧を引き出すには、様々な言語で書かれた写本を研究する人材を育てていかねばなりません。写本に秘められた智慧を閉じてしまうのではなく、広く現代の社会に、民衆に開いていかねばなりません。その意味で、創価学会、東洋哲学研究所は、素晴らしい活動をされています。サンスクリット語で書かれた法華経の写本を永久に残す事業を展開するだけではなく、ローマ字化し出版されていることは、研究者にとって、まことに価値のあることです。
現代社会は、平和と調和を切に必要としています。私は、法華経には、この世界に平和と調和をもたらす深いメッセージが込められていることを本日、実感いたしました。
釈尊は、法華経というかたちで、私たち人類に恩恵を与えてくれました。この法華経のメッセージは、私たち民衆の中に、日常生活の中に、広まっていかなくてはなりません。そして、民衆によって実践されなければなりません。一般的に、哲学は、実践されてきませんでした。しかし、実践されなければ、哲学はその価値を失ってしまいます。
法華経には、普遍的な法が存在しています。法華経は、いわゆる宗教的なるものを説いたものではありません。法華経には、「普遍的な法」が説かれているのです。非暴力の思想も仏教から生まれ出たものです。法華経は、人類にとって非常に価値のある経典であると同時に、人々はこの経典について学び、実践をしていかなければなりません。この『法華経』展は、私たち民衆にとっての未来への第一歩となることでしょう。
ニューデリー展(デリー大学 )
ニューデリーの「デリー大学」での法華経展は、2009年2月に行われた。
開幕式では、サンスクリット学者であり、インド国家から最高栄誉の「パドマ・シュリ賞」を受賞したサッティヤヴラット・シャーストリー博士、台北駐印経済文 化センターの代表ウェン・チー・オン氏、デリー大学仏教学部長のビクシュ・サッティヤパラ教授がテープカットを行った。
◆主催:デリー大学仏教学部、東洋哲学研究所
◆会場:デリー大学文学部棟(ニューデリー)
◆開催日:2009年2月6日~7日
ウェン代表は「法華経は、人類のもっとも価値ある宝です。この展示会では、法華経を貫く価値を様々な面からわかり易く表現されています」と称賛。サッティヤパラ教授は「東洋哲学研究所が法華経展の開催に賛同してくださり、心から感謝申し上げます。学生を含め私たち教授も多くのことを法華経展から学べます」と述べた。
仏教学部の学生も、パネルの一つひとつをノートにメモしながら丁寧に見学。法華経が様々な国で、その土地の言語に訳され、民衆に貢献してきた史実に興味を示す学生も。さらに博士課程の学生は、「法華経写本シリーズ」について「このような活動は人類にとって非常に価値のあることです。創価学会と東洋哲学研究所の平和運動の一端を知ることができ、励まされました」と語っていた。
また、別の学部で学ぶ学生は、「インドで発祥した仏教のことを今まで何も知りませんでした。まして仏陀が残した経典についてはまったく知識がありませんでした。今回の展示を通し、仏陀の教えを勉強させていただく機会を得たことに感謝します」と語った
ニューデリー展(インディラ・ガンジー国立芸術センター )
開幕式には、デリー州のヨガナンダ・シャストリ大臣、仏教文化研究の世界的権威であるロケッシュ・チャンドラ博士(インド文化国際アカデミー理事長)、同センターのチャクロバラティ理事長をはじめ、各界を代表する来賓が列席した。
来賓のあいさつの後、ロケッシュ・チャンドラ博士が基調講演を行った。
博士は、世界で混沌が続く今、新世紀に適う法華経の展開が必要と言及。「池田先生こそ、法華経の最も偉大な展開者であり、『尊敬される経典』を『実践のための経典』にされている」と語った。
同展には、6600人が鑑賞に訪れた。また、展示の模様や期間中に行われたセミナーが、国営放送・有力紙で報道され反響を広げた。
◆主催:インディラ・ガンジー国立芸術センター、東洋哲学研究所、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部、インド創価学会
◆会場:インディラ・ガンジー国立芸術センター(ニューデリー)
◆開催日:2008年4月16~23日
チェンナイ展
「法華経――平和と共生のメッセージ」展の「チェンナイ展」は、法華経写本と63枚のパネルなどで〝法華経の世界〟を表現。“マハトマ・ガンジーが読んだ法華経”なども公開された。会場となったマドラス大学の創立150周年慶祝の意義を込めて開かれた。
◆主催:マドラス大学、東洋哲学研究所、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部、インド創価学会
◆会場:マドラス大学(チェンナイ)
◆開催日:2007年10月4~7日
新聞報道から
(聖教新聞2007年10月19日付)
インド・チェンナイの名門マドラス大学で4日、「法華経――平和と共生のメッセージ」展が盛大に開幕した(主催=マドラス大学、東洋哲学研究所、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部、インド創価学会)。
同展は、マドラス大学創立150周年を慶祝するもの。池田SGI(創価学会インタナショナル)会長、パグウォッシュ会議のスワミナサン博士が祝福のメッセージを贈った。開幕式には、タミルナードゥ州のバルナーラー知事(マドラス大学総長)、同大学のラマチャンドラン副総長、東洋哲学研究所の川田所長ら来賓250人が列席した。
「“法華経展”の開催は、暴力と不幸の世界に、平和と調和のメッセージを送ります。法華経の精神は今、最も求められているのです!」
核廃絶を目指す科学者の連帯「パグウォッシュ会議」の会長であるスワミナサン博士は、“法華経展”の開催を祝福し、メッセージで、こう呼びかけた。
法華経に込められた平和への願い――“法華経展”の開催は、「経の王」に刻まれる人類普遍のメッセージを広く伝えるものである。
インドで成立した法華経は、中国から朝鮮・韓半島、そして日本へ。13世紀の日蓮大聖人は、「法華経」を基盤に全世界の民衆救済の闘争を開始。大聖人の魂を継承した創価学会は三代会長によって、世界192カ国・地域に、法華経の心を流布させてきた。
マドラス大学は、カラム前大統領をはじめ、インド大統領を3人輩出したインド屈指の名門校。さらに、ノーベル賞受賞者2人の出身校としても知られる。“法華経展”は、創立150周年の記念行事の一環として、開催された。
展示では、創価学会が発刊を進める写本シリーズ、法華経の古ウイグル語訳、西夏語訳など法華経に関する文献を紹介。
さらに、池田SGI会長に世界の識者から贈られた法華経写本や、仏教文化研究の世界的権威であるロケッシュ・チャンドラ博士(インド文化国際アカデミー理事長)から寄贈された“ガンジーが愛読した法華経”などが公開された。
開幕式典は、マドラス大学の本館で挙行された。
同大学のゴパーナクリシュナン哲学学部長があいさつし、「このような展示は、優れた思想・哲学を持たれているSGI会長の尽力によるものです」と感謝を述べた。
東洋哲学研究所インドセンターのオオウチ所長がSGI会長のメッセージを代読すると、会場は大きな拍手に包まれた。
東洋哲学研究所の川田所長は、創立45周年を迎えた同研究所にとって、展示の開催は深く歴史に刻まれるものであると述べた。さらに、「『法華経』が、一つの契機となり、仏教を通じて、インドと日本の民衆が、世界平和を創りゆく潮流を起こしていくことを祈っております」と語った。
続いて、マドラス大学のラマチャンドラン副総長、バルナーラー州知事が祝福のスピーチを発表した。
鑑賞者からは「古代の写本が見事に保存され、未来の世代にメッセージを送っている素晴らしい展示です」など、感動の声があふれた。
開幕式の模様は、国営放送がニュース番組で紹介。また、全国紙「ザ・ヒンドゥー」をはじめ、新聞9紙が報道した。展示は7日まで開催され、2000人が鑑賞に訪れるなど、大きな反響が広がった。
池田SGI会長のメッセージ
一、私は、恩師・戸田城聖先生の写真を携えて、会長就任の翌年、1961年1月、インドへと旅立ちました。香港、スリランカを経由して、マドラスの空港に到着したのは、1月31日の午後5時のことでありました。
マドラス、すなわち現在のチェンナイは、私にとって、憧れの精神の大国・インド初訪問の第一歩を印した、忘れ得ぬ天地なのであります。
貴国は、仏教発祥の地であり、偉大な精神の源流の国です。私たちの精神の故郷であり、「大恩の国」であり、「師匠の国」であります。このたびの“法華経展”の開催によって、この大恩に少しでもお応えできればと願っております。
一、釈尊成道の地・ブッダガヤを訪れ、インド、そしてアジアの人々の幸福、人類の永遠の平和を祈ったことも、昨日のように鮮やかに思い出されます。
私は夕闇迫るガンジスのほとりに立ち、仏教をもって世界平和に貢献していくためには、どのような方途があるかを思索しました。
そして、そのための第一歩として、東洋哲学研究所という学術研究機関を設立しようと決意したのです。
その第1の理由は、インドから世界に発信された平和と調和のメッセージであり、人類の精神的遺産である仏教、なかんずく法華経を決して過去のものとして終わらせてはならない。文献学的、思想的、歴史的に研究を進め、その「普遍的価値」を明らかにし、未来を創造する指標として人類に提示することが必要であると考えたからです。
第2は、民族、文化、宗教の差異を互いに理解し合い、ともに協力し合いながら、人類の未来のための「文明間対話」「宗教間対話」を推進する必要があると考えたからです。
翌年の1962年1月に東洋哲学研究所を設立し、本年で45年となりました。
一、人類に平和と共存の智慧を送り続けた法華経。
譬喩品では、この現実世界の様相を、炎に包まれている家――「火宅」と表現し、仏は苦悩と恐怖の炎に焼かれる民衆を救済するために、この娑婆世界に出現すると説かれています。
「三界は安きこと無し 猶お火宅の如し 衆苦は充満して 甚だ怖畏す可し 常に生老 病死の憂患有り 是の如き等の火は熾然として息まず」
21世紀に入っても、世界は核戦争の危機、地球温暖化に象徴される環境問題の中にあり、幾多の民衆が飢餓や貧困に呻吟し、地域紛争やテロは一向にやまず、「憎悪と暴力」の連鎖が続いております。
では、そのような「火宅」の根本的な原因は一体、どこにあるのか。
法華経は、人間生命の内奥を深く探索し、「貪(むさぼり)・瞋(いかり)・癡(おろか)」の「三毒」を見出しました。果てしなく貪り求める欲望の心、エゴイズムや怒り、憎悪の心などの煩悩の火が、地球上に「火宅」の様相をもたらしているのであります。
法華経は、この人間生命の「三毒の火」を「智慧の光」へと転換する方途を示しました。
南インド出身の大乗仏教の大成者であるナーガールジュナ(竜樹)は、『大智度論』の中で、法華経の偉大さを、腕のいい薬剤師に喩え、次のように述べております。
「譬えば大薬師の能く毒を以て薬と為すが如し」
つまり、もともと「毒」として作用する材料を巧みに調合することによって、患者の病を治す「良薬」として活用することができるという譬喩であります。ここでいう「毒」とは「煩悩」すなわち「悪性」を指し、「薬」とは「菩提」すなわち「善」を指します。
13世紀の日本の日蓮大聖人は、このナーガールジュナ(竜樹)の解釈を受けて、さらに次のように述べておられます。
――「毒」とは煩悩道・業道・苦道の「三道」のことであり、我々人間の生命のなかの悪性と、悪い行為と、生老病死に象徴される苦悩の境涯のことである。
「薬」とは法身・般若・解脱の三徳のことであり、清浄で力強い仏の生命と、輝く智慧と、自由自在の大福運の境涯のことである。
人類の苦悩を救済する偉大な医者にたとえられる法華経には、この「三道」を「三徳」に転換し、その人のいる所を平和で安穏なる常寂光土に転換していく偉大な力が備わっている――と。
その力とは、法華経に示される「仏性」(「仏知見」)であります。暴力性とエゴイズムと無明にとらわれ、相争う「人間」自身の中に、実は本来、無限の幸福を創造する「仏性」が内在しているのであり、その力を発現させていくべきであると教えられております。
まさに法華経は、人類にとっての「大良薬」であり、偉大な「生命蘇生の法」なのであります。
一、このたびの“法華経展”では、多くの言語に翻訳されてきた仏教写本資料が展示されております。
これらを通し、仏教写本がいかに長期間にわたって、広大な地域で、さまざまな民族によって書写され受け継がれてきたかを、ご理解いただけるでありましょう。
まさしく法華経は、無限の「希望の哲学」「幸福の哲学」「平和の哲学」であり、決して「過去の文化遺産」ではありません。人類の未来を照らす巨大な光源として、価値創造し続ける永遠の経典なのであります。
私は、この貴国の英知が再び全世界を照らし、人類の境涯を高めゆく「インド・ルネサンス」の光明を放ち続けていかれることを切望してやみません。
1995年、チェンナイで、私に世界桂冠詩人の称号を贈ってくださった世界詩歌協会会長のクリシュナ・スリニバス博士は、詩集『ブッダ――人間主義の勝利』の中で、法華経の魂を高らかに謳われております。
「仏は常に存在している。過去も、現在も、未来も。
仏は言った。『私はいつもここに在って、法を広めている』
如何なる時代にあっても、赤々と燃える自身を露わにして。
蓮華は、泥沼の中に根を張り、光り輝く花びらと共に輝く。
菩薩も、人生の喜びと悲しみの泥沼にあり。
灯台として赤々と燃え、暗闇の世界に光をもたらす」
最後に、世界に冠たる英知の殿堂である貴・マドラス大学の永遠なる栄光と、仏教大恩の故郷・インドの無窮なる平和と繁栄を心よりお祈り申し上げます。
スワミナサン博士(パグウォッシュ会議会長)のメッセージ
最先端の科学技術が、すべての人々に幸せと健康というまれな機会を与えているこの時代に、不幸にも、人間の心の中に暴力がはびこり、小さな事件が大きな暴力へと発展しています。このような時代に、「法華経展」の開催は、最も求められていることだと思います。
法華経展を通して伝えられる平和と調和のメッセージは、わたしたちの生き方に大きな影響を 与えてくれると思います。時あたかも「国際非暴力デー(10月2日)」(マハトマ・ガンジーの誕生日)の直後に開催されることにも大きな喜びを感じます。
バルナーラー州知事(マドラス大学総長)のあいさつ
インドは、多くの宗教が誕生した地であります。ほぼすべての宗教がアジア大陸から発祥しております。
インドは精神性の大地であり、多種多様な文化を有し、複数の言語が共存し、多様性の中の団結という偉大なる歴史を持っています。そしてインドは、非暴力と寛容を世界に教えました。
仏教の中で最も重要で影響力を持ち、神聖な経典が法華経であります。
そのメッセージは、仏の命であり、絶対的幸福であり、恐怖と、すべての命に巣食う幻想からの自由であります。内面の生命の強化によって、すべての人々は困難を乗り越え、他者と協調し、満足のいく人生を送ることができるというものです。
今回、法華経の説話を通して、平和と共生のメッセージを広めるための“法華経展”が開催されたことは、まことに喜びに堪えません。
また、法華経がシルクロードを通り、インドから中央アジア、中国、韓国を経て、日本にたどり着いたことは、大変に素晴らしいことです。
法華経はそれぞれの生命に勇気、智慧、慈悲が秘められていることを信じさせてくれます。
成仏を達成することができる普遍的能力を、伝統的に認められなかった女性や悪人の成仏の例を通して示し、内面の決意こそが、すべてのものを転換していくことを説いています。
池田博士によって創立された東洋哲学研究所は、法華経の精神に基づき、人々の価値ある人生に貢献し、東洋の伝統的な智慧の宝庫を発掘する努力をしておられます。
また、インド創価学会が様々な展示活動を通して平和を促進され、既に50万の人々が見学したことは意義深いことです。
東洋哲学研究所とインド創価学会を讃えるとともに、平和と調和のメッセージが広がることをお祈り申し上げます。
ラマチャンドラン・マドラス大学副総長のあいさつ
この“法華経展”が開催された大学評議会会館は、チェンナイで最も有名な歴史的建造物です。
この会館を、シルクロードの地域から集められた法華経の貴重な写本、断簡、また、学術的資料、写真などの展示会場に選んでいただき、本学として、まことに光栄であります。
古代の釈尊の教えは、すべてが無常であることに人々を目覚めさせ、苦悩から人間を解放しました。
しかし、法華経は、それにとどまることなく、生命に内在し、かつ、宇宙の真理である仏界という生命を説き明かし、限りない慈悲の行動を可能にする「絶対的幸福」をあらわしました。
法華経は、無常を強調したり、執着や欲望を消滅させるのではなく、すべての生命に内在する仏界を究極の存在として強調しています。それにより、日常の現実生活を強く肯定し、積極的に他者とかかわり、人間社会全体とかかわっていくことを強調しています。
池田会長はスワミナサン博士との対談で、「法華経が明かした真理の中核は、『あらゆる生命は尊厳であり、平等である』という法理です。そして、その真理の実践が、不軽菩薩が行った万人尊敬の行動なのです」と述べておられます。
このような貴重な人類の宝の展示が、卓越した法華経の精神世界を人間社会に展開する、有意義なものになることを確信します。
インド創価学会は、インドにおいて平和・文化の展示活動を長年にわたり展開しておられます。
チェンナイの市民、特に学生がこの展示を鑑賞し、「調和と平和」という法華経のメッセージを吸収することを心から念願し、大成功をお祈りいたします。 このページのトップへ