ワールド・パブリック・フォーラム (WPF)の第4回総会に代表が参加
◆主催者:ワールド・パブリック・フォーラム(World Public Forum)
◆会場:ギリシャ・ロードス島
◆開催日:2006年(平成18年) 9月27日から10月1日
ワールド・パブリック・フォーラム (WPF)の第4回総会に東洋哲学研究所の代表が招聘され、参加した。
WPFは2002年、ロシア、インド、ギリシャなどの民間団体によって「文明間の対話」を目的に設立された。青少年教育、宗教間対話など多岐にわたるテーマで、諸プログラムを推進。各プログラムや総会には、各国の政治指導者・学識者らが参加して活発な意見交換を重ねている。
今回の第4回総会は9月27日から10月1日まで、ギリシャ・ロードス島で開催され、62カ国から600人が参加した。
東洋哲学研究所の代表は「平和のための宗教間対話」分科会に出席し、川田洋一所長が「仏教の平和観――宗教間対話に向けて」と題し発表した(9月29日)。
その際、所長は、第一に「仏教の平和観」について、仏教で説く「心の平和」は、釈尊と同じく「宇宙根源の法」を顕在化し、三毒の煩悩を克服したところに現出するものであり、この「心の平和」を基盤として「社会の平和」と「生態の平和」へ行動していく人間像を菩薩と呼んでいると述べた。
第二に「宗教間対話のあり方」に触れ、①それぞれの宗教が、創始者の「原点の心」に帰るべきである②各宗教はそれぞれの「独自性」を尊重しつつ、他宗教との「共通項」にも積極的に関わっていくべきである③他宗教から学んで、自己の宗教を「創造的」に変革すべきである④「宗教間対話」の目標を明確にすべきであり、その主軸は「平和」である――の諸点を語った。
第三に「仏教とキリスト教の対話」を行ってきた結果、浮かび上がってきた共通項として、次の四点を挙げた。①両宗教の基盤は、ともに「人間の尊厳」と「生命の尊厳」に立脚している②そこから発現する「慈悲」「愛」による人類救済という使命を強調している③「殺すなかれ」「盗むなかれ」など人類共通の倫理の中核となる規範を有している④人間存在の有限性を自覚し、「永遠なる次元」を志向している。そこから、物質至上主義の現代文明の弊害を乗り越える「死生観」を人類に贈ることができる。
また、同分科会では、東洋哲学研究所の江口満委嘱研究員が、「人間革命と幸福の倫理」と題して発表。自他共の幸福を築く仏教の哲学と実践について論じた。