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代表理事・所長 田中亮平 あいさつ

東洋哲学研究所は1961年、創立者である池田大作創価学会インタナショナル会長がインド・ブッダガヤ訪問の「仏法西還」の旅路のなかで構想されたものです。

 

創立者が研究所に示された“原点”とは、第一に数千年の長きにわたって、東アジアの民衆の精神を潤してきた「法華経」の研究を深めること。第二に、仏教の思想と他の宗教、思想、科学との比較研究をすること。第三に、人類的課題を解決するための、仏教を基調とした人間主義、平和主義の理論を構築することでした。

 

第一の「法華経」の研鑽は、「法華経とシルクロード」展(1998年)となって開花しました。ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所が所蔵する、法華経をはじめ重要経典の写本を公開し、日本と欧州の仏教研究者より多くの称賛の声をいただきました。この展示は、オーストリア、ドイツでも行われました。さらに「法華経――平和と共生のメッセージ」展が香港からスタート(2006年)し、日本、マカオ、インド、スペイン、ネパール、スリランカ、ブラジル、イギリス、台湾、マレーシア、アルゼンチン、韓国、ペルー、タイ、シンガポール、インドネシアへと展開しております。

 

また当研究所は創価学会との共同事業として、これまで日本や世界の専門家の協力を得て、旅順博物館、ネパール国立公文書館、ケンブリッジ大学図書館、東京大学総合図書館、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、英国・アイルランド王立アジア協会、パリ・アジア協会、大英図書館、インド国立公文書館等が所蔵する各種法華経原典の研究・解説にたずさわっています。その成果である「法華経写本シリーズ」は、『インド国立公文書館所蔵 ギルギット法華経写本―写真版』『旅順博物館所蔵 梵文法華経断簡―写真版及びローマ字版』などとして写真版・ローマ字版として結実。さらに、『ギルギット・ネパール系梵文法華経写本校訂本(C3校訂本)』『梵文法華経写本 (C4)校訂本―ネパール・ギルギット・中央アジア系写本異読対照』の校訂本を刊行してきました。

 

次に第二の分野では、これまでハーバード大学・世界宗教研究センター、中国社会科学院・世界宗教研究所をはじめ世界各地の大学・研究機関との共同シンポジウムを実施。また、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、敦煌研究院、マラヤ大学文明間対話センター等と学術交流協定を締結してきました。各研究員も世界中の大学・研究所、各種学会で研究成果を発表しています。混乱を極める今日の世界情勢の中で、今後この分野での活動は、いよいよ重要性を増してくることは間違いありません。

 

第三の分野では、伝統の学術大会や『東洋学術研究』『東洋哲学研究所紀要』等の機関誌発刊の出版事業などを通じて、仏教を基調とした人間主義・平和主義の理論構築を充実させています。それらの成果は、社会貢献と一般への公開のため、オンラインによる連続公開講演会や「法華経――平和と共生のメッセージ」展の開催、ホームページ・SNSを通じて発信を行ってまいります。東洋哲学研究所は、21世紀の“平和の文化”の創出のために、創立者の精神を基盤として不断の努力を続けていきたいと考えています。

 

【略歴】

東洋哲学研究所代表理事・所長、創価大学名誉教授(岡山大学、創価女子短期大学を経て、創価大学教授、同大学副学長等を歴任)

専門分野:ドイツ文学、ゲーテ

取得学位:修士(文学、東京大学)

出  身  校:東京大学大学院人文科学研究科

主な著訳書

  • 『ゲーテとドイツ精神史』(2020、知泉書館)
  • 『ゲーテ=シラー往復書簡集』(2016、潮出版社)
  • 『時を超えた詩心の共鳴―ゲーテと池田大作』(2009、第三文明社)
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